VWork バイブコーディングフレームワーク

「バイブトレーディング」と聞くと、雰囲気や直感だけで売買することのように見えるかもしれません。しかし、ここでいうバイブトレーディングは正反対です。

取引戦略のアイデアを自然な言葉でAIに伝え、検証可能なコードや設定に変え、バックテストとペーパートレードの数字を見ながら育てていく方法を、私たちはバイブトレーディングと呼んでいます。

AIに利益を約束させる手法ではありません。人間が仮説とリスクの責任を持ち、AIは実装・分析・改善を支援し、採用するかどうかは実測結果で決めます。

バイブコーディングを取引戦略へ広げる

バイブコーディングでは、人間が「何を作りたいか」を言葉で伝え、AIと対話しながらシステムを作ります。バイブトレーディングは、その進め方を売買戦略の研究と運用へ広げたものです。

例えば、次のような会話から始めます。

東京時間のレンジを、ロンドン時間に上抜けたら買う戦略を作って。損切りと利確を固定し、過去データで検証して。

AIは意図をコードや設定値に落とします。ただし、そこで完成ではありません。未来のデータを誤って参照していないか、手数料やスプレッドを含めても成立するか、期間や銘柄を変えても同じ傾向が残るかを確かめます。

基本のサイクルは次の5段階です。

  1. 仮説を言葉にする — どの市場で、何を根拠に、いつ売買するかをAIへ伝える
  2. 検証可能な形へ変える — AIが戦略コード、設定値、テスト条件を作る
  3. 過去データで測る — バックテストで損益、勝率、最大ドローダウン、取引回数を確認する
  4. 仮想売買で現実に近づける — ペーパートレードで価格取得、注文、約定、停止条件、監視まで通す
  5. ログをAIと読み直す — バグと戦略の弱点を分け、変更前後を同じ条件で比較する

大切なのは、AIの回答ではなく、再現できるコード・ログ・取引履歴を残すことです。「AIが良いと言ったから採用する」のではなく、「測った結果が残ったから、次の検証へ進める」という順序にします。

従来の自動売買と何が違うのか

従来のシステムトレードでも、仮説、実装、バックテスト、運用という工程はありました。違いは、AIとの自然言語の対話が工程の接着剤になることです。

一方で、注文数量、最大損失、ストップ、同時保有数などの安全装置まで、その場のAI判断に任せるべきではありません。判断を行う「頭脳」と、注文・資金・固定リスク制限を扱う「体」を分離することが重要です。

バイブトレーディングを研究する3つのシステム

Kurageプロジェクトでは、対象市場と実行基盤が異なる3つのシステムを動かしながら、バイブトレーディングを研究・開発しています。現在公開している数字にはペーパートレードやテストネットの結果が含まれ、実資金の運用成績ではありません。

kfreqai — 暗号資産で「負け方」まで研究する

kfreqaiは、Freqtrade/FreqAIとLightGBMを基盤にした暗号資産のペーパートレードシステムです。予測モデルだけでなく、相場環境の判定、リスク制御、終了した取引のレビュー、戦略仮説のバックテストまでを一つの改善ループにしています。

特徴は、勝った結果だけを見せないことです。全取引、失敗、変更の経緯を公開ダッシュボードKurageトレードブログで確認できます。「損失の原因はモデルか、地合いか、実装ミスか」をログから切り分ける、バイブトレーディングの研究母体です。ソースコードもGitHubで公開しています。

kfreqaihl — 会話と数値調整で戦略を試すHyperliquid版

kfreqaihlは、kfreqaiの共通戦略コアをHyperliquidへ展開した版です。暗号資産はtestnet、FX・商品・指数は実勢価格を用いたペーパートレードで先行体験できます。

戦略プリセットを選ぶだけでなく、画面から数値を調整し、保存した内容を次の取引ループへ反映できます。暗号資産のtestnetでは、出金権限を持たないAgent Walletへ取引権限だけを委任する非カストディ方式を採用しています。戦略を対話と設定変更で試し、結果を同じ画面で追うという、利用者向けのバイブトレーディング体験を検証しています。

kfxai — 「AI予測を捨てる」判断も研究成果にする

kfxaiは、OANDAデモ環境で動くFXペーパートレードシステムです。機械学習による方向予測をwalk-forward方式で検証し、十分な優位性を確認できなかったため、実行戦略から外しました。現在は、複数の頑健性テストを通過した円ペアの東京レンジ/ロンドンブレイクアウト戦略を検証しています。

これはバイブトレーディングの重要な例です。AIに作らせたモデルへ執着するのではなく、数字が弱ければ捨てます。ライブダッシュボードでは、保有状況、確定・含み損益、取引サイクルを公開しています。GitHubには、取引本体とバックテスト基盤を公開しています。

3つを並べる理由

一つの市場、一つのモデル、一つの好調期間だけでは、戦略が本当に有効なのか、それとも偶然なのかを見分けにくくなります。

この違いを残したまま、仮説、実装、検証、運用、反省という共通サイクルを回します。バイブトレーディングは特定のAIモデル名ではなく、AIと一緒に戦略を作り、証拠で残す開発・運用方法だからです。

関連書籍『AIと作る自動取引ボット入門』

『AIと作る自動取引ボット入門』表紙

『AIと作る自動取引ボット入門:バイブコーディング×バイブトレーディングで暗号資産・FX戦略を育てる』(小嶋 篤 著)は、完成済みの売買ツールを配る本ではありません。

Amazonの商品説明にあるとおり、VPSの契約から始め、Codex CLIと日本語で相談しながらNOFX、kfreqai、kcbrainを組み上げ、自然な言葉の売買アイデアをバックテストとPaper取引で検証・改善するための実践入門書です。ログ監視、Git管理、バックアップ、実資金へ移る前の判断基準まで含め、序章と全49章で構成されています。

この記事で説明した「自然な言葉を、検証できる戦略へ変える」工程を、自分の環境で最初から試したい人向けの一冊です。

まとめ

バイブトレーディングは、雰囲気で売買することではありません。

人間の仮説 → AIによる実装支援 → バックテスト → ペーパートレード → ログを使った改善を繰り返し、取引戦略を検証可能なシステムとして育てる方法です。

AIは作業の速度と試せる仮説の数を増やします。しかし、利益を保証せず、未来も知りません。最終判断、資金管理、リスクの責任は人間に残ります。まずは実資金を使わない環境で、AIの説明ではなく、コードと数字とログを確かめることから始めてください。

※本記事は技術開発と検証方法の紹介であり、投資助言ではありません。ペーパートレードや過去データの成績は、将来の成果を保証しません。