完成品55,000円、作り方も55,000円——『3つの入口』でシステムを売る実験を始めました
今日から、当社の予約・受付システム kreserve の商品ページに、こういう表を置きました。
- 完成品を買う(55,000円)——即ダウンロード、ソースコード付き
- 開発手順書を買って、自分で作る(同じく55,000円)——Brainで販売する完全ガイド。環境構築からデプロイまで、コピペで使う開発プロンプト12本付き
- 自社仕様に作ってもらう(110,000円税込)——バイブプロトタイピングで当社が開発、最短1営業日でデモ
見てのとおり、手順書が完成品と同じ値段です。この記事は、なぜこの値付けなのか、こんな売り方をした会社が過去にあったのか、を書きます。
こんな売り方の前例はあるのか
調べた範囲での正直な答えは「部分的にはある。しかし、この形は見当たらない」です。
- キット文化(Heathkitの系譜): 1950〜80年代の米Heathkitは、ラジオやアンプを「完成品ではなくキットで」売りました。完成品より大幅に安いわけでもないのに売れた。買われていたのは製品ではなく「作る体験と、作れるようになる自分」でした。ただしHeathkitが売ったのは部品+説明書で、説明書単体に完成品と同じ値札を付けたわけではありません
- Buy vs Build: 企業ITには「買うか、作るか」という古典的な二択論があります。ただしこれは買い手側の意思決定フレームで、売り手が両方を同じ棚に並べる話ではありません
- DIY / DWY / DFY: 海外のサービス業界には「Do It Yourself(教材)/ Done With You(伴走)/ Done For You(代行)」という提供ラダーの型があり、ノーコード基盤の海外企業には「DIY/おまかせ/ハイブリッド」の3方式を掲げる例もあります。今回の3択に一番近い先行例です。ただしこの型では、DIYは必ず一番安い段に置かれます
つまり「3つの入口」自体には系譜があります。新しいのは、知識(手順書)に完成品と同じ価格を付けて、同じ商品ページに並べたところです。
なぜ「作り方」に完成品と同じ値段が付けられるのか
AIエージェント以前、開発手順書の読者はエンジニアだけでした。非エンジニアが手順書を買っても実行できないので、知識の市場価値は完成品よりずっと低かった。DIYが常に最安の段に置かれてきたのは、そういう理由です。
いまは違います。Claude CodeのようなAIエージェントが「実行部隊」になり、手順書+AI=完成品に到達できるようになりました。しかも手順書で作った人には、予約システム1本に加えて「業務システムをAIで自作するプロセス」が残ります。次は顧客管理も請求管理も作れる。
完成品は「時間」を売る。手順書は「力」を売る。オーダーメイドは「適合」を売る。——お客様のニーズは本当はこの3種類に分かれているのに、いままでの売り手は自分の都合で1つの入口しか用意してきませんでした。AIが手順書を実行可能にしたことで、はじめて3つの入口を同じ値段感覚で並べられるようになった。これが、今回の実験の核心です。
実装は「1フィールド追加」で全商品に効く形に
Kurage App Storeの商品データに guide_url というフィールドを1つ足しました。手順書がある商品は自動で3択表示、ない商品は2択(完成品/オーダーメイド)表示になります。AIエージェント向けの機械可読カタログ(catalog.json)にも手順書URLを載せたので、AIに「予約システムを探して」と頼んだ人にも3つの入口が伝わります。
今後、売れ筋の商品から順に手順書を増やしていきます。どの入口が選ばれるかは、経路パラメータで商品ページ・Brain・制作サービスへの流入を分けて計測し、数字で判定します。
現在地
- kreserveの3択販売を開始(商品ページ・解説LP・Brain手順書が相互接続済み)
- 手順書1本目はBrainの審査を通過し、55,000円で販売中
- 結果はこのブログで続報を書きます
「お客様が本当に欲しいのは、システムか、作る力か、ぴったり合うものか」。この問いに値札で答える実験です。同じことを考えている開発会社・製作者の方がいたら、名古屋AI経営勉強会(無料・匿名OK)で情報交換しましょう。
関連リンク
- 完成品: kreserve(Kurage App Store・55,000円) / 無料デモ
- 手順書: kreserve開発手順書(Brain・55,000円)
- オーダーメイド: バイブプロトタイピング(110,000円税込)
- 予約管理の悩みから読む: 予約管理をラクにする方法7選
- 迷ったら無料相談: Kurage.AI 相談チャット