星23,700の優れたCRMが、日本で誰にも使われていない理由——日本語ファイルが無いだけでした。全2,392キーを訳して導入キットにした話
名古屋でAIシステム開発の会社をやっています。今日は「良いものが埋もれる理由」の話です。
Krayin CRMというオープンソースの営業支援ツールがあります。GitHubのスターは23,704。ライセンスはMITで、商用利用も改変も再配布も自由。インドのWebkul社が10年以上開発を続けています。
それなのに、日本語の解説がほぼありません。実測しました(2026年8月)。
| Zenn | Qiita | |
|---|---|---|
| Krayin | 0本 | 9本 |
| EspoCRM | 0本 | 5本 |
| 参考: kintone | 48本 | 100本以上 |
公式ドキュメントも英語のみです。理由を調べたら、単純でした。
本家に日本語ファイルが入っていない
Krayinの言語ファイルを見ると、こうなっています。
ar / en / es / fa / ko / pt_BR / tr / vi / zh_CN
アラビア語、ペルシャ語、韓国語、中国語、ベトナム語はあります。日本語だけがありません。
つまり、日本の会社が試そうとすると、全画面英語のまま使うことになります。営業担当者に「Leads」「Quotes」「Persons」と書かれた画面を渡して使ってもらうのは、現実的ではありません。
機能が足りないのではなく、日本語が無いだけで選択肢から外れていた。
全2,392キーを訳しました
翻訳しました。内訳はこうです。
| ファイル | キー数 |
|---|---|
| Admin(管理画面の全体) | 2,127 |
| Installer(インストーラ) | 249 |
| WebForm(Web問い合わせフォーム) | 11 |
| GoogleContact(連絡先同期) | 5 |
| 合計 | 2,392 |
本家へプルリクエストも提出しています。マージされれば公式配布に日本語が入ります。それまでは、当社が配っているものが実質唯一の日本語版です。
自分たちで使うために訳したものを本家に返す、という進め方をしています。マージされたら保守は本家に手放せますし、それが一番きれいな形だと思っています。
Krayinは何が良いのか
リードのかんばんです。これが芯です。
左から 新規 → フォローアップ → 見込み → 交渉中 → 受注/失注。カードを掴んで隣の列へドラッグすると、それが進捗の更新になります。フォームを開いて、ステータスの選択肢を選んで、保存を押す、という手順が要りません。
そして列の見出しに、その段階の件数と合計金額が出ます。
新規(1) ¥800,000 フォロー(1) ¥2,500,000 見込み(1) ¥1,200,000 交渉中(1) ¥1,800,000 受注(1) ¥900,000
営業会議のために資料を作る、という作業が消えます。画面がそのまま資料です。Excelで案件管理表を作って毎週更新している会社には、ここが一番効きます。
Laravelをサブディレクトリに置くと、全ページが404になる
技術的に一番はまったのはここです。
Krayinは Laravel 12 の上に乗っています。共有レンタルサーバーのサブディレクトリ(/krayin/ など)に置いて、公式手順どおりに public/index.php へ書き換えで飛ばすと、トップから全部404になります。
原因は SCRIPT_NAME です。public/index.php を直接呼ぶと SCRIPT_NAME が /krayin/public/index.php になり、Laravelがベースパスを /krayin/public だと誤認します。エラー画面すら出ないので、原因にたどり着くまで時間がかかりました。
解決は、ルート直下に入口の index.php を置いて SCRIPT_NAME を固定することです。数行のファイルですが、これが無いと何も動きません。
他にもいくつか。
- 標準の
public/.htaccessはOptionsの行があるため、共有レンタルサーバーでは500エラー RewriteCondで%{REQUEST_URI}を使うとサブディレクトリ名が二重になり、JS・CSSがtext/htmlで返って画面が真っ白になる- 日本語は
.envのAPP_LOCALEでは切り替わりません。DBのcore_configを見ています。ここで悩む人が多いはずです - 通貨も
.envのAPP_CURRENCY。設定画面をいくら探しても$800,000.00のままです
どれも公式ドキュメントに書かれていません。
触れます
実際に動いているものを、ログイン情報つきで公開しています。
proto.exbridge.jp — ID demo@exbridge.jp / パスワード demo2026
新規から受注・失注まで6件のサンプルを入れてあります。カードを掴んで隣の列にドラッグしてみてください。それが進捗の更新です。金額も円で表示されます。
導入キットを5,500円で出しました
ここまでの全部を、キットとしてkappstoreに置きました(買い切り・税込5,500円)。
- 日本語ファイル一式2,392キー
- 本番で動いている
.htaccessと、ルートに置く入口のindex.php、public/.htaccessの3点セット - 環境チェック用のPHP、権限を絞った利用者の作成スクリプト、かんばん確認用のサンプル投入
- カスタマイズ用のAIプロンプト5本
- 構築手順書(落とし穴11個つき)
フォルダごとClaude CodeやCodexに渡せば、AIが手順書を読んで構築まで進みます。読み物ではなく、動かすためのものです。
ソフト本体は無料です。値段が付いているのは、日本語ファイルと、共有レンタルサーバーで動くところまで確実に届く手順に対してです。
EspoCRMとどちらを選ぶか
当社は両方のキットを出しています。用途で分かれます。
電話をかける仕事が中心なら EspoCRM。「通話」が標準機能で、架電の予定・結果・次回予定を記録できます。ただしAGPLで、画面から「EspoCRM」の表記を消せません。
案件の進み具合を見える化したいなら Krayin。かんばんが芯で、ドラッグで進捗が動きます。MITなので制約がありません。
迷ったら、両方のデモを触ってから決めてください。どちらもログイン情報を公開しています。
まとめ
- 星23,700のCRMが日本で使われていない理由は、日本語ファイルが無いことだった
- 全2,392キーを訳し、本家へプルリクエストも出した
- Krayinの芯はドラッグで進捗が動くかんばん。営業会議の資料が要らなくなる
- Laravelをサブディレクトリに置くと全ルート404。原因は
SCRIPT_NAME - 日本語も通貨も
.envと DB のどちらを見るかが分かれている
構築ごと任せたい場合は、カスタマイズしてから御社のサーバーへ導入するところまで承ります(Vibe OSS・110,000円税込〜)。使っているサービスから置き換え候補を引きたい方はSaaSとOSSの対応表をどうぞ。判断に迷ったらKurage.AIに相談から聞いてください。