住所を入れると徒歩10分圏の人口が出る——商圏分析システム「Kurage 商圏分析」を作って公開しました(買い切り55,000円)
名古屋でAIシステム開発の会社をやっています。前回の記事で「商圏分析は無料のQGISと国の統計データでできる」と書きました。今回はその続きです。QGISの操作を覚えなくても使えるように、Webシステムにして公開しました。
- 触れるデモ(無料): Kurage 商圏分析
- ソースコード販売: Kurage App Store・買い切り55,000円
何ができるか
住所や駅名を入れて「分析する」を押すだけです。たとえば「名古屋市瑞穂区内浜町」で徒歩10分を指定すると、こう出ます(実測値)。
- 商圏人口 13,533人(男6,817・女6,716)
- 世帯数 6,796
- 事業所数 619・従業者数 13,787人(昼間の働き手の目安)
- 年齢構成: 0〜14歳 1,206人(9%)/15〜64歳 7,595人(56%)/65歳以上 3,789人(28%・うち75歳以上 1,964人)
地図には、到達圏のポリゴンと500mメッシュの人口ヒートマップが重なって表示されます。名古屋駅なら9,634人、札幌市中央区なら22,419人、仙台駅なら15,663人——駅前は事業所が多く居住人口が少ない、住宅地はその逆、という商圏の性格がひと目で分かります。
円ではなく「道路網ベースの到達圏」です
商圏分析でよくあるのは、店舗を中心にした半径800mの円です。しかし人は道路を歩くので、川や線路の向こう側は円に入っていても実際には来られません。
本システムは、OpenStreetMapの道路網を使う経路エンジン(Valhalla)で徒歩・車5〜30分の到達圏を計算します。円と比べると、川沿いや駅の反対側で形が大きく欠けるのが分かります。ここが商圏人口の数字を大きく左右します。
データは国の統計・利用料ゼロ
使っているのは、国が無償公開している統計だけです。
- 2020年国勢調査 500mメッシュ(人口・男女・年齢構成・世帯数)
- 2021年経済センサス活動調査 500mメッシュ(事業所数・従業者数)
e-Statから全国151区画ぶんを自動ダウンロードするスクリプトを同梱しており、投入後の検証はこうなりました。
- メッシュ数 466,145・合計人口 126,146,099人 = 2020年国勢調査の日本総人口と完全一致(誤差0)
- 事業所 5,288,891・従業者 62,427,908人 = 経済センサスの公表値と整合
境界のメッシュは、商圏ポリゴンと重なる面積の割合で按分しています。500mメッシュを丸ごと足すか按分するかで駅前の数字は1〜2割変わるので、ここは推計の質に効きます。
構成はすべてオープンソース
- 到達圏: Valhalla(MIT)
- メッシュ集計: PostGIS
- 地図表示: MapLibre GL JS + 国土地理院タイル
- ジオコーディング: 国土地理院API(無料・キー不要)
- 本体: Python / FastAPI
月額のデータ利用料も地図APIの従量課金もありません。動かし続けるのに必要なのはVPS代だけです。
正直に書いておくこと
- VPSが必要です。 共有レンタルサーバーでは動きません。dockerとメモリ4GB以上、Valhallaの日本全図タイル構築に初回数十分〜数時間かかります(手順書に明記しています)
- 数値は推計値です。秘匿処理された小規模メッシュは含まれない場合があります
- 単発で数か所調べるだけなら、総務省の無料ツール(jSTAT MAP)で足ります。 本システムが効くのは、候補地を大量に同じ基準で回したい場合、会員住所や配達実績など自社データと重ねたい場合、分析を社内の仕組みとして持ちたい場合です
入手方法
- まず無料デモを触る — kurage.exbridge.jp/kshoken.php/(登録不要。データは実物です)
- ソースコード一式を購入 — Kurage App Store・買い切り55,000円(税込)。本体+データ自動取得スクリプト+設置手順書。MITライセンスで改変自由です
- 自社向けの作り込みを依頼 — 競合の業種別内訳、自社データとの重ね合わせ、候補地の一括採点などはバイブプロトタイピング(税込110,000円〜)で承ります
まとめ
- 住所ひとつで、徒歩10分圏の人口・年齢構成・世帯・事業所数が出る
- 到達圏は円ではなく道路網ベース。データは国の統計で利用料ゼロ
- 全国466,145メッシュ・総人口126,146,099人の完全一致で投入を検証済み
- 無料デモあり。ソースは買い切り55,000円、自社仕様の作り込みは110,000円〜