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商圏分析は無料でできる——QGISと国の統計データだけで出店エリアの人口・競合を出す方法

2026年9月1日

名古屋でAIシステム開発の会社をやっています。先日「商圏分析に使えるGISのオープンソースはあるか」と調べる機会があり、知られていないだけで、無料で相当なところまでできると分かったのでまとめます。

先に前提をひとつ。GitHubで「商圏」を検索すると、商圏分析の専用オープンソースは事実上存在しません(個人の小さなツールが数件あるだけです)。この分野は部品を組み合わせて作る領域で、その部品と、もっと重要なデータが、どちらも無料で手に入ります。

商圏分析とは何を出すことか

出店判断・FC本部のエリア設計・士業の開業地選び・営業テリトリー分けで使う分析は、分解するとこの3つです。

  1. 到達圏——店舗から徒歩10分・車15分で来られる範囲(円ではなく道路に沿った形)
  2. その範囲の人口・世帯・年齢構成——何人住んでいるか、高齢者が多いのか子育て世帯か
  3. 競合——同じ範囲に同業が何軒あるか

「ソフトが高いからできない」と思われがちですが、実際に高いのはソフトではありません。そしてデータは国が無償公開しています

結論:QGIS単体+無料データで始められます

QGIS は世界標準の無料GISソフトです(オープンソース・GPL・GitHubスター14,310)。メニューまで公式に日本語化されています。WindowsでもMacでも動きます。

やることの流れはこうです。

  1. QGISをインストールする(無料)
  2. e-Stat「統計GIS(地図で見る統計)」から、国勢調査の500mメッシュ人口(年齢構成・世帯まで入っています)と境界データをダウンロードする(無料・出典明記で利用可)
  3. QGISに読み込み、背景地図(OpenStreetMap)を敷く
  4. 自店・出店候補地の住所をポイントで置き、半径1km等のバッファ(円商圏)を描く
  5. バッファ内のメッシュを集計する——これで商圏人口・年齢構成が出ます

競合は、経済センサスの事業所数メッシュ(これもe-Statにあります)や、業種によっては国土数値情報のデータを同じ地図に重ねれば見えます。

無料で取れるデータの一覧

データ 入手先 中身
人口・世帯・年齢構成(250m/500mメッシュ) e-Stat 統計GIS 国勢調査。商圏人口の本体
事業所数・従業者数(メッシュ) e-Stat 統計GIS 経済センサス。競合密度に
駅・バス停・用途地域・商業地域 国土数値情報 立地条件の重ね合わせに
道路網・背景地図 OpenStreetMap 徒歩圏・車圏の計算に

いずれも出典を明記すれば事業利用できます(各データの利用規約はダウンロード時に確認してください)。

Webシステムに組み込む場合の部品表

「住所を入れると商圏レポートが出る」Webツールを自社で持ちたい場合の部品です。スター数とライセンスは当社が2026年9月1日に実測した値です。

役割 OSS GitHub★ ライセンス
到達圏の計算(徒歩/車N分) Valhalla / OSRM / OpenRouteService 6,138 / 8,027 / 1,962 MIT / BSD / GPL
空間データベース(メッシュ集計) PostGIS + pgRouting 2,216 + 1,427 GPL-2.0
Web地図の表示 MapLibre GL JS 11,498 BSD系
ヒートマップ等の可視化 kepler.gl 11,994 MIT
分析スクリプト geopandas / h3 / turf.js 5,237 / 6,509 / 10,462 BSD / Apache / MIT
道路網から徒歩圏を作る osmnx 5,833 MIT

型としては MapLibre(地図)+ Valhalla(到達圏)+ PostGIS(メッシュ集計) の3点が芯です。ユーザー数に応じた月額課金はどれにもありません。

正直な注記:jSTAT MAPで足りる場合があります

総務省統計局の jSTAT MAP は、無料の公式Webツールで、円商圏・到達圏のレポート作成までできます。単発で数か所を調べるだけなら、これが最短です。

QGISやOSSで組む意味が出るのは、次のどれかに当てはまるときです。

まとめ

「うちの店舗リストで一括処理したい」「会員データと重ねた商圏レポートを自動で出したい」といった仕組み化は、バイブプロトタイピング(税込110,000円〜)で承っています。どのデータをどう重ねるべきかの相談だけでも構いません。