放課後等デイサービスは4年半で1.7倍になった——同じ期間に3,114か所が公表データから消えている
放課後等デイサービスと児童発達支援の事業所を、住所から探せる道具を作りました。作りながら、この分野の数字の読み方でひとつ気づいたことがあります。
- できたもの: https://kurage.exbridge.jp/khoudei.php/?ref=vwork-khoudei
- 消えた事業所のページ: https://kurage.exbridge.jp/khoudei.php/gone?ref=vwork-khoudei
- オンプレミス版: https://kappstore.exbridge.jp/app.php?id=38ed38e789c77ec2&ref=vwork-khoudei
データは国が出しています
WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)が、障害福祉サービス等情報公表システムのオープンデータをサービス種別ごとのCSVで配っています。営利・非営利を問わず二次利用できると明記された公開データで、毎年3月末・9月末に更新されます。
障害児の通所支援だけで、2026年3月末時点の収録はこうです。
| サービス | 事業所 | 定員の合計 |
|---|---|---|
| 放課後等デイサービス | 25,020 | 213,977人 |
| 児童発達支援 | 16,993 | 155,739人 |
| 障害児相談支援 | 9,856 | — |
| 保育所等訪問支援 | 3,995 | — |
合計56,258事業所。住所・電話・営業時間・定員に加えて緯度経度が全件入っているので、住所から通える範囲を出すのに外部のジオコーダが要りません。
実はこのデータ、今朝すでに手元にありました。同じ日に就労継続支援A型・B型のナビを作ったとき、全29サービス種別を落としてあったからです。種別を選び直すだけで済みました。
増えた数だけを見ると、この分野は分かりません
放課後等デイサービスの公表件数を並べると、こうなります。
- 2021年11月末 … 14,663
- 2026年3月末 … 25,020
4年半で1.71倍。急拡大しています。ここで話を終えると「事業所が増えて選びやすくなった」と読めますが、同じデータをもう一方向から見ると別の絵が出ます。
一度公表された事業所番号が、次の時点から消えた数を数えました。
| 最後に公表された時点 | 消えた放課後等デイ | その定員の合計 |
|---|---|---|
| 2024年3月末より後 | 1,947か所 | 15,805人分 |
| それ以前(2年半) | 1,167か所 | 9,133人分 |
合計3,114か所が消えています。入ってくる事業所も、出ていく事業所も、どちらも増えているわけです。合計の数字だけを見ていると、この入れ替わりは見えません。
児童発達支援も同じで、改定後1,507か所(定員12,262人分)、それ以前745か所でした。
それでも「1.7倍に増えた」とは書きませんでした
画面には「公表件数は1.71倍」と出しますが、「事業所が1.7倍に増えた」とは書いていません。この公表システムは登録が進行中で、増加には自治体の登録が進んだぶんが混ざるからです。
就労継続支援B型を作ったときも同じ問題を踏みました。B型の公表件数は4年半で57%増えていますが、実際の事業所数がそんなに増えた事実はありません。増えたのは観測のほうです。
増えたのは現象か、それとも観測か。 ここを分けないと、グラフは簡単に嘘をつきます。
一方、消えた数は登録率の影響を受けにくい。母数が増えても「いったん載ったものが消える」のは別の出来事だからです。だから画面では、全国の増減を「公表された件数」と書き、退出のほうは実数として扱っています。
この分野に固有の「言えないこと」
道具を作るとき、いちばん時間をかけたのは機能ではなく書かないことの線引きでした。
空き状況は分かりません。 公表データに入っていないからです。画面の定員は「1日あたりの利用定員」で、いま受け入れられる人数ではありません。ここを混ぜると、定員10人の事業所が「10人受け入れ可能」に見えてしまいます。
支援の内容も分かりません。 どんな療育をしているか、送迎があるか、どんな資格の職員が何人いるかは公表データにありません。これは見学と面談でしか分からないことです。だから画面にそう書きました。数字で比べられるものだけを並べて、比べられないものを黙って落とすと、「定員が多い=良い事業所」という読み方を誘発します。
消えた事業所が廃止したかどうかも分かりません。 廃止・指定の取消・法人の変更・登録の更新漏れ、どれかは公表されていません。「廃止」と書けば見出しは強くなりますが、それは分かっていないことを分かったように書くことです。
あと1つ、この分野だけの注意書きを足しました。利用には市区町村が出す受給者証が要ります。 事業所を見つけても、そこへ直接申し込めばいいわけではない。最初の一歩が違うので、画面に書いておきました。
中身
PHP 1ファイルとSQLite(41MB)。データベースサーバーも常駐プロセスもポートも要りません。
- 住所から距離順(種別・範囲で絞り込み)
- 都道府県47・市区町村1,400超・区・事業所56,258のページ
- 市区町村ごとの推移と、消えた事業所の一覧(事業所名と最後の定員つき)
- CSV、JSON API、sitemap、llms.txt
朝に作った就労継続支援ナビとコードはほぼ同じです。同じ公開データから、別の困りごとに答える道具が2つできました。取り込みスクリプトが共通なので、次にどの種別を足すかはデータの公開状況だけで決められます。
この仕組みは、事務所・自治体・会社の名前で公開できるオンプレミス版としてソースコード同梱で出しています。データは国の公開データだけ、判定は置いた場所で完結し、外部のAPIには何も送っていません。