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障害者グループホームは4年半で1.6倍。同じ期間に入所施設は1.03倍のままだった

2026年9月22日

障害のある人の住まいを住所から探せる道具を作りました。作る途中で、数え方をひとつ変えなければいけないことに気づきました。

データは国が出しています

WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)が、障害福祉サービス等情報公表システムのオープンデータをサービス種別ごとのCSVで配っています。営利・非営利を問わず二次利用できると明記された公開データで、毎年3月末・9月末に更新されます。

住まいに関わる5種別だけで、2026年3月末時点の収録はこうです。

サービス 事業所
共同生活援助(グループホーム) 16,022
短期入所 9,145
施設入所支援 2,565
自立生活援助 519
宿泊型自立訓練 220

合計28,471事業所。緯度経度が全件入っているので、住所からの距離計算に外部のジオコーダは要りません。

最初に気づいたのは、定員が1件も無いことでした

共同生活援助の16,022件を読み込んで、定員の列を数えたら0件でした。空欄が多いのではなく、全件が空です。

これは「定員0人のグループホームが16,022か所ある」のではありません。公表項目にそもそも入っていないのです。短期入所(7,130件)や施設入所支援(2,435件)には定員が入っているので、データの欠損ではなく制度の側の話です。

だから画面から定員のカードも定員の列も外しました。「—」と表示して済ませることもできますが、それだと「定員が無い事業所」に見えてしまいます。「公表されていません」と書くようにしています。

「施設から地域へ」は、数字に出ていました

10時点ぶん(2021年11月末から半年ごと)のCSVを並べると、こうなります。

時点 グループホーム 施設入所支援
2021年11月末 10,012 2,484
2023年3月末 11,332 2,508
2024年3月末 12,987 2,535
2026年3月末 16,022(1.60倍) 2,565(1.03倍)

グループホームだけが増えて、入所施設はほとんど動いていません。「施設ではなく地域で暮らす」という方針は、少なくとも住まいの数のうえでは、この向きで進んでいます。

ただし公表件数が増えた=事業所が増えた、ではありません。自治体の登録が進んだぶんが混ざります。だから画面では全国の増減を「公表された件数」と書いて、事業所数とは呼び分けています。

増えた側だけを見ても、分かりませんでした

同じ10時点を、逆から数えます。前の時点には載っていた事業所番号が、次の時点には載っていない。その数です。

1,618か所のグループホームが、この4年半で公表データから消えていました。

問題は、消え方が均等ではなかったことです。

最後に公表された時点 消えたグループホーム
2023年9月末 111
2024年3月末 175
2024年9月末 473
2025年3月末 296
2025年9月末 206

2024年9月末のところだけ、明らかに跳ねています。何が起きたのか中を見ました。

473か所のうち、202か所が1つの法人、52か所がもう1つの法人でした。 残りは3か所以下が散らばっているだけです。

だから、法人を主語にした画面を作りました

市区町村ごとに数えているうちは、この偏りは見えません。「大阪府で121か所減った」としか出ないからです。数える単位を法人に変えて、はじめて形が見えました。

作ったのは、法人ごとに次の4つを並べるページです。

  1. いま公表されているグループホームの数
  2. 住まい全体の数と、種別の内訳
  3. 何都道府県に広がっているか
  4. 公表データから消えた数

やってみて分かったのは、消えた数だけを見てはいけないということでした。上位2社はこうなります。

  消えたグループホーム いま公表されているグループホーム
A社 212 339
B社 88 19

同じ「まとめて消えた」でも、中身がまったく違います。A社はいまのほうが多い。法人の再編で事業所番号が付け替われば、古い番号は「消えた」に数えられます。住む場所が無くなったという話ではありません。 B社は逆で、実際に大きく減っています。

どちらなのかは、公表データには書かれていません。 消えた理由の欄が無いからです。だから画面は断定せず、2つの数を必ず並べて、読み分け方を文章で添えることにしました。

法人番号では束ねられませんでした

ここで詰まりました。法人ごとに数えるのだから法人番号を鍵にすればいい、と思って書いたら、同じ会社が何行にも割れたのです。

調べたら、公表データの法人番号は入力がばらばらでした。

番号で束ねると、同じ法人がばらけて「何か所消えたか」を数え落とします。最大手が212か所ではなく、176か所と30か所と6か所……に分かれてしまう。

そこで正規化した法人名(NFKC変換して空白を除去)を鍵にしました。

代わりに、同じ名前の別法人が混ざります。同名の社会福祉法人が複数の県に実在するケースで、384名義・3,186事業所がこれに当たります。完全な解決ではありません。だから法人ページには、見つかった法人番号を全部並べて出しています。「この法人には公表データ上で複数の法人番号が記録されています(入力ゆれです)」と添えて。

分からないものを、分かったように束ねない。妥協した理由も画面に書く。そこまでやって、やっと出せる数字だと思っています。

ほとんどの法人は1か所しか持っていません

もうひとつ、数えて意外だったことを書いておきます。

全国16,022か所のグループホームを、10,744法人が運営しています。1法人あたり平均1.49か所です。

内訳を見ると、1か所しか持っていない法人が8,557。全体の79.6%です。2か所が1,354、3か所が379と続きます。

つまりこの分野は、小さな法人がほとんどを支えている一方で、上位には全国40都道府県に339か所を持つ法人がいる、という形をしています。「グループホームが増えた」と一言で言うとき、増えたのがどちらなのかで意味がまったく違います。

できたもの

住所を入れると、近くのグループホーム・短期入所・施設入所支援が距離順に出ます。運営法人の名前がその場に出て、押せばその法人の全国の事業所に飛べます。

PHP 1ファイルとSQLiteだけで動きます。データベースサーバーも常駐プロセスもポートも要りません。判定は置いた場所で完結して、外部のAIやAPIには何も送りません。

空き状況は出しません。 公表データに無いからです。家賃も食費も夜間の体制も同じく分かりません。入れるかどうかは事業所に聞くしかありません。そこは道具では埋められない部分です。

オンプレミス版をソースコードと更新用スクリプトごと出しています。年2回のデータ更新は、同梱のPythonを2本動かすだけです。

https://kappstore.exbridge.jp/app.php?id=bf709cfc7b0bf51a&ref=vwork-kghome