障害者グループホームは4年半で1.6倍。同じ期間に入所施設は1.03倍のままだった
障害のある人の住まいを住所から探せる道具を作りました。作る途中で、数え方をひとつ変えなければいけないことに気づきました。
- できたもの: https://kurage.exbridge.jp/kghome.php/?ref=vwork-kghome
- 運営法人から探す: https://kurage.exbridge.jp/kghome.php/corps?ref=vwork-kghome
- オンプレミス版: https://kappstore.exbridge.jp/app.php?id=bf709cfc7b0bf51a&ref=vwork-kghome
データは国が出しています
WAM NET(独立行政法人福祉医療機構)が、障害福祉サービス等情報公表システムのオープンデータをサービス種別ごとのCSVで配っています。営利・非営利を問わず二次利用できると明記された公開データで、毎年3月末・9月末に更新されます。
住まいに関わる5種別だけで、2026年3月末時点の収録はこうです。
| サービス | 事業所 |
|---|---|
| 共同生活援助(グループホーム) | 16,022 |
| 短期入所 | 9,145 |
| 施設入所支援 | 2,565 |
| 自立生活援助 | 519 |
| 宿泊型自立訓練 | 220 |
合計28,471事業所。緯度経度が全件入っているので、住所からの距離計算に外部のジオコーダは要りません。
最初に気づいたのは、定員が1件も無いことでした
共同生活援助の16,022件を読み込んで、定員の列を数えたら0件でした。空欄が多いのではなく、全件が空です。
これは「定員0人のグループホームが16,022か所ある」のではありません。公表項目にそもそも入っていないのです。短期入所(7,130件)や施設入所支援(2,435件)には定員が入っているので、データの欠損ではなく制度の側の話です。
だから画面から定員のカードも定員の列も外しました。「—」と表示して済ませることもできますが、それだと「定員が無い事業所」に見えてしまいます。「公表されていません」と書くようにしています。
「施設から地域へ」は、数字に出ていました
10時点ぶん(2021年11月末から半年ごと)のCSVを並べると、こうなります。
| 時点 | グループホーム | 施設入所支援 |
|---|---|---|
| 2021年11月末 | 10,012 | 2,484 |
| 2023年3月末 | 11,332 | 2,508 |
| 2024年3月末 | 12,987 | 2,535 |
| 2026年3月末 | 16,022(1.60倍) | 2,565(1.03倍) |
グループホームだけが増えて、入所施設はほとんど動いていません。「施設ではなく地域で暮らす」という方針は、少なくとも住まいの数のうえでは、この向きで進んでいます。
ただし公表件数が増えた=事業所が増えた、ではありません。自治体の登録が進んだぶんが混ざります。だから画面では全国の増減を「公表された件数」と書いて、事業所数とは呼び分けています。
増えた側だけを見ても、分かりませんでした
同じ10時点を、逆から数えます。前の時点には載っていた事業所番号が、次の時点には載っていない。その数です。
1,618か所のグループホームが、この4年半で公表データから消えていました。
問題は、消え方が均等ではなかったことです。
| 最後に公表された時点 | 消えたグループホーム |
|---|---|
| 2023年9月末 | 111 |
| 2024年3月末 | 175 |
| 2024年9月末 | 473 |
| 2025年3月末 | 296 |
| 2025年9月末 | 206 |
2024年9月末のところだけ、明らかに跳ねています。何が起きたのか中を見ました。
473か所のうち、202か所が1つの法人、52か所がもう1つの法人でした。 残りは3か所以下が散らばっているだけです。
だから、法人を主語にした画面を作りました
市区町村ごとに数えているうちは、この偏りは見えません。「大阪府で121か所減った」としか出ないからです。数える単位を法人に変えて、はじめて形が見えました。
作ったのは、法人ごとに次の4つを並べるページです。
- いま公表されているグループホームの数
- 住まい全体の数と、種別の内訳
- 何都道府県に広がっているか
- 公表データから消えた数
やってみて分かったのは、消えた数だけを見てはいけないということでした。上位2社はこうなります。
| 消えたグループホーム | いま公表されているグループホーム | |
|---|---|---|
| A社 | 212 | 339 |
| B社 | 88 | 19 |
同じ「まとめて消えた」でも、中身がまったく違います。A社はいまのほうが多い。法人の再編で事業所番号が付け替われば、古い番号は「消えた」に数えられます。住む場所が無くなったという話ではありません。 B社は逆で、実際に大きく減っています。
どちらなのかは、公表データには書かれていません。 消えた理由の欄が無いからです。だから画面は断定せず、2つの数を必ず並べて、読み分け方を文章で添えることにしました。
法人番号では束ねられませんでした
ここで詰まりました。法人ごとに数えるのだから法人番号を鍵にすればいい、と思って書いたら、同じ会社が何行にも割れたのです。
調べたら、公表データの法人番号は入力がばらばらでした。
- ある1社に、13桁の法人番号が6種類ついている
- 13桁ですらない値が604件(12桁、10桁など)
- 空が1,513件
番号で束ねると、同じ法人がばらけて「何か所消えたか」を数え落とします。最大手が212か所ではなく、176か所と30か所と6か所……に分かれてしまう。
そこで正規化した法人名(NFKC変換して空白を除去)を鍵にしました。
代わりに、同じ名前の別法人が混ざります。同名の社会福祉法人が複数の県に実在するケースで、384名義・3,186事業所がこれに当たります。完全な解決ではありません。だから法人ページには、見つかった法人番号を全部並べて出しています。「この法人には公表データ上で複数の法人番号が記録されています(入力ゆれです)」と添えて。
分からないものを、分かったように束ねない。妥協した理由も画面に書く。そこまでやって、やっと出せる数字だと思っています。
ほとんどの法人は1か所しか持っていません
もうひとつ、数えて意外だったことを書いておきます。
全国16,022か所のグループホームを、10,744法人が運営しています。1法人あたり平均1.49か所です。
内訳を見ると、1か所しか持っていない法人が8,557。全体の79.6%です。2か所が1,354、3か所が379と続きます。
つまりこの分野は、小さな法人がほとんどを支えている一方で、上位には全国40都道府県に339か所を持つ法人がいる、という形をしています。「グループホームが増えた」と一言で言うとき、増えたのがどちらなのかで意味がまったく違います。
できたもの
住所を入れると、近くのグループホーム・短期入所・施設入所支援が距離順に出ます。運営法人の名前がその場に出て、押せばその法人の全国の事業所に飛べます。
- 都道府県ページ47、市区町村ページ1,400超(政令市と東京23区は区ごと)
- 事業所ページ28,471、法人ページ5,288(2か所以上持つ法人)
- CSVとJSON API、sitemap.xml、llms.txt
PHP 1ファイルとSQLiteだけで動きます。データベースサーバーも常駐プロセスもポートも要りません。判定は置いた場所で完結して、外部のAIやAPIには何も送りません。
空き状況は出しません。 公表データに無いからです。家賃も食費も夜間の体制も同じく分かりません。入れるかどうかは事業所に聞くしかありません。そこは道具では埋められない部分です。
オンプレミス版をソースコードと更新用スクリプトごと出しています。年2回のデータ更新は、同梱のPythonを2本動かすだけです。
https://kappstore.exbridge.jp/app.php?id=bf709cfc7b0bf51a&ref=vwork-kghome