AIインタビューで法案への意見を聞くシステムを作った——話題に束ね、合意点まで出す仕組みと、荒らし・個人情報への備え
この記事は バイブコーディング的仕事ブログ(VWork Blog)へ移りました。 最新版はこちらです → https://exbridge.jp/vibeblog/2026-10-11-khouan-ai-interview-bills.html
名古屋でAIシステム開発の会社をやっています。前の記事で、オードリー・タンさんとチームみらいの「みらい議会」を調べて、法案ごとに意見を聞くシステムを作り始めた経緯を書きました。そのシステム「Kurage 法案AIインタビュー(khouan)」ができたので、仕組みと、公開の前に確かめたことを書きます。
1. 全体の流れ
khouan は、論点AIマップや合意形成AIと同じく、当社のサーバーで動く別の製品として作りました。流れは4つです。
- 法案を読み込む:国会トラッカーの法案のデータ(要約・審議の経過・国会での質疑)から、いまの臨時国会で審議中の22本を取り込みます。要約は、元の文と数字や日付を照らし合わせたものだけを使います。
- 意見を聞く:法案ごとに、要約から聞く項目を5問(賛否・理由・暮らしへの影響・懸念・提案)作っておき、AIが聞き手になって質問します。答えに合わせて、最大3回まで質問を重ねます。
- まとめを残す:最後にAIが「意見のまとめ」を作ります。本人が直して同意したときだけ保存し、公開するかどうかも本人が選びます。名前は聞きません。
- 束ねて、合意点を出す:公開された意見が5件集まった法案から、論点AIマップと同じ方法で話題に分け、話題から賛否を問える論点を立てて合意形成AIに渡します。合意形成AIが、意見の一つひとつが各論点に賛成か反対かを読み取り、意見のグループと合意点を出します。
国会トラッカーの法案のページには、「この法案に意見を伝える」「みんなの意見」「どこで割れて、どこで一致しているか」の3つの枠を足しました。khouan が止まっていても、法案のページ自体は表示されるようにしてあります。
2. 荒らしと個人情報への備え
誰でも意見を出せる場所は、荒らしと個人情報の書き込みが一番の心配です。決まりは次のとおりです。
- 1回の答えは600字まで、1回のインタビューは14回の答えまで
- 同じ回線からの開始は1時間に6回・1日20回まで、全体では1時間に300回まで
- 公開を選んだまとめは、電話番号・メール・郵便番号・URLの形を先に止め、そのあとAIが悪口・個人情報・宣伝を判定する
- AIが判定できないときは、公開しない
- 回線のIPアドレスはそのまま持たず、元に戻せない形(ハッシュ)にしてから保存する
AIは当社のサーバーで動かしている生成AI(gemma4)で、意見を外部のAIのサービスに送りません。
3. 公開の前に確かめたこと
- 公開の画面から、テストと分かる回答でインタビューを1件、最後まで通しました。基本の5問にAIの深掘りが3回入り、まとめは答えに沿った内容(立場・理由・影響・懸念)になりました。公開を選ぶと、判定を通ってまとめのページが開きました。
- 荒らしの判定は、悪口・氏名と住所・電話番号を止め、ふつうの反対意見は通しました。
- テストの意見を7件にして、話題に分ける処理と、合意形成AIへの受け渡しを確かめました。2つの話題に分かれ、論点4本が合意形成AIに渡り、賛否の読み取りも動きました。
- 確かめたあと、テストのデータはすべて消しました。いまの本番の意見は、これから集まります。
- スマホ(幅320〜390)とパソコンで、画面が横にはみ出さないことを確かめました。
4. 作ってみて分かったこと
聞く項目は、どの法案も同じ型(賛否→理由→影響→懸念→提案)にしました。法案ごとの違いは言い回しに少し出る程度で、型をそろえておくほうが、あとで話題に束ねたり、合意形成AIに渡したりするときに扱いやすいためです。
一方で、AIは答えが具体的でも深掘りの質問をすることがあります。回答者の負担が増えすぎないよう、深掘りは3回までにしています。
いちばんの課題は、意見を出してもらうことです。前に書いたとおり、日本では人に来てもらう入口だけでは意見が集まりにくい。khouan は、すでにある声から論点を立てられる論点AIマップと合意形成AIと組み合わせて使う前提で作っています。
5. 議員事務所・自治体・地方議会で使うなら
khouan は、議員事務所、政党、地方議会、自治体が自分たちのサーバーに置いて使える形で、Kurage App Store に出しています。地方議会の議案ごとに住民の意見を聞く、議員事務所が地元の声を委員会の質問の材料にする、政党が政策の議題ごとに支持者の声を聞いて割れている点と一致している点を見る、といった使い方を考えています。
よくある質問
AIインタビューで出した意見は、国会に届きますか?
届きません。khouan は当社のシステムで、国会の公式の窓口ではありません。国会に意見を届ける公式の方法は請願で、国会トラッカーの法案のページに手続きを載せています。
名前や連絡先は聞かれますか?
聞きません。まとめに個人情報が入っていた場合は、公開の前に止めます。
どの法案に意見を出せますか?
いまは、臨時国会(第222回国会)で審議中の法案22本です。
自分たちのサーバーに置いて使えますか?
使えます。Python で動き、生成AIは自分たちのサーバーの Ollama(gemma4)を使います。Kurage App Store から入手できます。