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わかりやすい資料の作り方——政党の会見フリップ3枚を、同じ色使いのまま作り直して分かった5つのこと

2026年10月21日

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名古屋でAIシステムの開発をしている小嶋です。「わかりやすい資料の作り方」は、一般論で読むより、実物を1枚ずつ直してみるほうが身につきます。

今回の題材は、国民民主党が2026年10月20日の代表定例会見で使った、減税についてのフリップ3枚です。色使いがはっきりしていて、テレビやXで何度も見かける形のものです。これを同じ色使いのまま作り直し、どこをどう変えたかを、作り直す前と後の画像で並べます。

政党の主張に賛成か反対かを書く記事ではありません。資料の伝え方の例として扱っています。同じやり方は、どの党の資料にも、会社の提案書にも使えます。

元の3枚の良いところ

まず、元の資料はよくできています。作り直しでも、次の4つはそのまま残しました。

色は、背景が青のグラデーション(明るい水色から濃い青)、見出しの帯が濃い紺、本文の箱が白です。

1枚目:山形のグラフを「年収の帯」に

作り直す前の1枚目。上下2つの山形のグラフで、高市内閣案と国民民主党案の負担軽減額を比べている

(元の資料:国民民主党 代表定例会見 2026年10月20日)

元の1枚目は、横軸が年収、縦軸が負担軽減額のグラフを上下に2つ並べています。グラフの形を見比べれば違いは分かりますが、「結局、自分の年収だとどうなるのか」を読み取るには少し時間がかかります。

作り直した1枚目。年収を左から右への帯にして、政府案は給付のあと「負担軽減なし」、国民民主党案は119万〜約2,700万円で年5万円程度、と色分けしている

直したのは3つです。

  1. 見出しを結論にした。 元の「「支援金」の対案、現役世代減税」は、何の図かを説明する題です。作り直しでは「中間層に届くのは、国民民主党案だけ」と、図が言いたいことを先に書き、何の図かは小さい副題に回しました
  2. グラフを帯にした。 縦軸の高さを読む代わりに、年収の帯を「給付」「減税」「負担軽減なし」で色分けしました。自分の年収のところを指でたどるだけで、どちらの案で何が起きるかが分かります
  3. 言葉のまとめを足した。 下に、両案を1行ずつ言葉で書いた箱を置きました。図を読まない人にも、ここだけで伝わります

帯の幅は見やすさのための目安で、年収の比率どおりではありません。正確な形を見せたいなら元のグラフ、ひと目で違いを伝えたいなら帯、と使い分けるのがよいと思います。

2枚目:「?」に理由を書く

作り直す前の2枚目。2027〜2030年度の年表で、年収300万円未満と以上の人に何が起きるかを矢印で示している

(元の資料:国民民主党 代表定例会見 2026年10月20日)

2枚目は年表で、もともと分かりやすい形です。気になったのは、「年収300万円未満?」の「?」でした。見る人には、資料を作った人が自信がないのか、政府が決めていないのかが分かりません。

作り直した2枚目。年表はそのままに、「境目の年収は政府が示していないため300万円?としています」という注を足し、対案の箱を「2年で終わらない減税」と言い切っている

3枚目:4つの数字を1本の帯に

作り直す前の3枚目。4つの財源の箱が縦に並び、右に合計4.6兆円の箱がある

(元の資料:国民民主党 代表定例会見 2026年10月20日)

3枚目は財源の4案です。4つの箱が同じ大きさで並んでいるので、2.5兆円と0.2兆円の大きさの違いが見えません。

作り直した3枚目。4つの財源を1本の帯にして、2.5兆円・1.3兆円・0.6兆円・0.2兆円の大きさの違いが長さで分かる。下に4つの説明の箱

作り直しで守ったこと

どうやって作ったか

フリップは、HTMLとCSSで1枚1600×1000の大きさに組み、ブラウザを自動で動かすPlaywrightで、元と同じ2048×1280の画像に書き出しました。文字を画像に焼き込むのではなく、HTMLで組むので、言葉や数字を直すのが速いです。

1回目に書き出したときは、「国民民主党案」の札が2行に折り返す、「119万」と「178万」の目盛りが重なる、対案の箱から文字がはみ出す、という崩れがありました。書き出した画像を目で見て、札の折り返しを止め、目盛りの位置と箱の大きさを直して、2回目で仕上げています。作った画像は、必ず書き出したものを見て確かめるのが大事です。

わかりやすい資料の作り方:5つのこと

今回の作り直しで分かったことを、5つにまとめます。

  1. 見出しは「何の図か」ではなく「何が言いたいか」にする。 何の図かは副題に回す
  2. グラフの形を読ませるより、帯や長さで比べさせる。 見る人に、自分の場所を指でたどってもらう
  3. 分からない数字には、分からない理由を書く。 「?」だけにしない
  4. 色に役割を決めて、全部の資料で守る。 今回なら、紺と黄が自分たち、赤が比べる相手
  5. 図の下に、言葉のまとめを1行置く。 図を読まない人にも届く

当社は、国会の記録や公的なデータを、カードやページにして見せるシステムを作っています。データの見せ方を考えるときにも、この5つをいつも使っています。

ニュースと国会の記録カード(報道各社のニュースに、関係する国会の答弁のカードを付けたページ) https://exbridge.jp/news/

よくある質問

わかりやすい資料を作るとき、最初に何を直せばよいですか

見出しです。「〇〇について」「〇〇の比較」のような、何の図かを説明する題を、「〇〇は〇〇だけ」「〇〇は2年で終わる」のように、その1枚が言いたい結論に変えてください。何の図かは、小さい副題で補えば十分です。

資料の色使いは、何色にすればよいですか

色の数より、色ごとの役割を決めることが大事です。今回の資料では、紺と黄色が自分たちの案、赤が比べる相手の案、水色が給付、薄いピンクが減税と、役割が決まっています。役割を決めたら、全部のページで同じにしてください。