派遣会社のマージン率や求人の年齢制限をホームページで点検する|Kurage 広告表現チェックに人材派遣・職業紹介の決まりを足した
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名古屋でAIシステムの開発をしている小嶋です。
当社には、派遣会社から事務の方に来ていただいています。その派遣会社のホームページを見ていて、ふと思いました。派遣会社の広告は、ふつうの会社よりずっと多くの法律に縛られているはずだ。当社の「Kurage 広告表現チェック」で、それを点検できるだろうか。
答えは「できなかった」でした。広告表現チェックには、全業種に共通の決まり(景品表示法・特定商取引法)と、水道修理や害虫駆除などの生活関連サービスの決まりしか入っていなかったからです。そこで、人材派遣・職業紹介の決まりを足しました。
派遣会社のホームページを縛る法律
調べてみると、派遣会社が気をつけることは、大きく2つに分かれます。
求職者に向けた求人の書き方
- 職業安定法 第5条の4:求人の情報は、うそや誤解を生む書き方をせず、正確に、新しい状態にしておくことが求められています。2022年10月の改正で入った決まりです。
- 男女雇用機会均等法 第5条・職業安定法 第3条:募集で性別を限ること、「女性歓迎」のように片方を優先すると読める書き方、「営業マン」「ウェイトレス」のように片方の性別を思わせる職種名は、原則として認められていません。
- 労働施策総合推進法 第9条:募集で年齢を限ることは原則として認められていません。定年を上限にする場合や、60歳以上の方に限る場合などは例外です。
- 労働者派遣法 第26条第6項:紹介予定派遣を除き、派遣先の会社は、派遣で働く人を面接などで選ばないように努めることになっています。なので、求人に「派遣先の面接あり」とは書けません。
会社として公開する情報
- 労働者派遣法 第23条第5項:派遣元の会社は、派遣で働く人の数、派遣先の数、マージン率、教育訓練などの情報を、事業所ごとに提供しなければなりません。インターネットでの提供が原則です。
- 職業安定法 第32条の16:有料の職業紹介をする会社は、紹介で就職した人の数、そのうち6か月以内に辞めた人の数、手数料、返戻金の制度などの情報を提供しなければなりません。
- 許可番号:派遣は「派23-300000」、紹介は「23-ユ-300000」の形の許可番号があります。書いてあれば、求職者や取引先の会社が許可を確かめられます。
マージン率は、求職者が派遣会社を選ぶときにも見ています。「派遣会社 マージン率」は Google で月に1,300回、「派遣会社 マージン率 一覧」は月に590回検索されています。公開していることは、法律のためだけでなく、選ばれるための材料でもあります。
足した決まり
広告表現チェックの判定は、AIを使わず規則だけで行います。同じサイトなら、何度点検しても同じ結果になるようにするためです。今回足したのは、次の8つです。
- 派遣の許可番号があるか
- 紹介の許可番号があるか
- 派遣の情報公開の項目(マージン率・労使協定方式かどうか・教育訓練)が見当たるか
- 紹介の情報公開の項目(就職者数・6か月以内の離職者数・手数料・返戻金)が見当たるか
- 求人に、性別を限ったり優先したりするように読める言葉が無いか
- 求人に、年齢の上限が書かれていないか(例外の理由が近くにあれば拾いません)
- 派遣の求人で、派遣先の面接があるように読めないか(紹介予定派遣は拾いません)
- 「高収入」「高時給」の近くに、金額が書かれているか
根拠には、e-Gov 法令検索の条文を付けています。条文は、法令のデータで中身を確かめてから付けました。結果には「違反」とは書かず、「確かめたほうがよい表現」と根拠までを出します。法律の判断をするのは、弁護士の仕事だからです。
派遣会社4社のサイトで試して、誤検知を直した
決まりを作っただけでは、実際のサイトで正しく動くかは分かりません。きっかけになった名古屋の派遣会社と、全国の大手を含む派遣会社のサイトで試しました。(大手のうち2社は、プログラムからの読み込みを断っていたので点検できませんでした。)
最初の版では、誤検知が3つ出ました。
- お客様の声の「営業マン」:派遣先の会社の担当者が「最前線で活躍する営業マンを支えるために、事務スタッフを採用した」と話している部分を、求人の書き方として拾っていました。求人ではありません。職種名は「営業マン募集」のように、求人の形のときだけ拾うように直しました。
- 「事前面接はNG」という説明:派遣を使う会社向けに、「派遣社員の事前面接、選考はNG」と解説しているページを拾っていました。近くに「NG」「禁止」「できません」があるときは拾わないようにしました。
- PDFで公開している情報公開:ある大手は、「労働者派遣法第23条第5項に基づく情報公開」のページを作り、事業所ごとの情報をPDFで出していました。広告表現チェックはPDFの中までは読まないので、「マージン率などが見当たらない」と誤って出ていました。こうした情報公開のページや、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」の案内があるときは、項目ごとの点検を行わないようにしました。
あわせて、30ページまでの巡回で情報公開のページを先に読むよう、「情報提供」「情報公開」「マージン」などの言葉を優先して巡回するようにしました。
直したあとの結果では、許可番号は、どの会社も出していました。根拠の注記が要る「No.1」「業界最大級」を注記なしで使っていたのは1社でした。そのうえで、「紹介で就職した人の数がサイトの中で見当たらない」は、試した4社すべてで出ました。人材サービス総合サイトに載せていれば足りるものです。ただ、求職者がその会社のホームページから辿れるかどうかは、別の話だと思います。
判定の検査は、見本を28件足して65件になりました。拾うべきものを拾い、拾ってはいけないもの(お客様の声の「営業マン」、「事前面接はNG」の説明、60歳以上の募集、18歳未満は応募できないという注意書きなど)を拾わないことを、毎回確かめます。
正直な範囲
- PDFの中は読みません。情報公開をPDFだけで出している場合は、情報公開のページがあることを確かめた時点で点検を止めます
- 厚生労働省の人材サービス総合サイトは、当社のサーバーからは開けなかったので、照合していません
- 30ページまでの巡回なので、求人の件数が多いサイトでは、すべての求人を見るわけではありません
- 結果は「確かめたほうがよい表現」です。法律に反しているかどうかの判断は、弁護士や社会保険労務士にご相談ください
導入について
Kurage 広告表現チェックは、Kurage App Store でソースコードつきで販売しています(税込110,000円)。PHPが動くサーバーに置けば、自社のサイトも、取引先のサイトも点検できます。決まりは業種ごとのデータなので、業種を足すときにプログラムは触りません。
https://kappstore.exbridge.jp/app.php?id=cb0b3c587a75fc8a#ref=vibeblog-haken
点数と件数だけを見られるデモもあります。
https://proto.exbridge.jp/khyogen/#ref=vibeblog-haken
設置や、御社の業種に合わせた決まりの追加は、愛知県内の会社さま向けのAI-IT顧問でもお引き受けしています。
https://exbridge.jp/ai-it-komon.html#ref=vibeblog-haken
よくある質問
派遣会社は、マージン率を公開しなければいけませんか?
労働者派遣法第23条第5項で、派遣元の会社は、マージン率や教育訓練などの情報を事業所ごとに提供することになっています。インターネットでの提供が原則で、厚生労働省の人材サービス総合サイトに載せる方法もあります。
求人に年齢の上限を書いてもいいですか?
労働施策総合推進法第9条で、募集で年齢を限ることは原則として認められていません。定年を上限にする場合、長期勤続によるキャリア形成のために若い人を募る場合、60歳以上の方に限る場合などは例外で、例外にあたるときはその理由を示します。
「女性歓迎」と書いてもいいですか?
男女雇用機会均等法では、片方の性別を優先すると読める書き方は、原則として認められていません。女性が少ない職場で女性を優先するなど、例外として認められる場合もあります。
広告表現チェックは、違反かどうかを判定しますか?
しません。決まりに照らして「確かめたほうがよい表現」を、ページ・該当箇所・根拠の条文つきで一覧にします。判定にAIは使わず、同じサイトなら同じ結果になります。