若林正恭と生成AI大喜利——テレビバラエティーはAIをどう笑いに変えるのか
オードリーの若林正恭氏がMCを務めるAI実験バラエティーが、全国ネットに進出したと報じられている。ORICON NEWSの記事では、生成AI大喜利や、空想タレントのものまねショーといった企画が紹介されている。
このニュースの面白さは、AIを「人間の代わりに笑いを作る装置」としてではなく、「人間の芸を揺さぶる相手」として使っている点にある。大喜利は、言葉のズレ、文脈の読み替え、間、キャラクター、場の空気で成立する。生成AIは大量の言葉を作れるが、その答えが本当に面白いかどうかを決めるのは、出演者と観客の反応である。
若林氏のような芸人がAI企画のMCを務める意味もそこにある。AIの出力をそのまま見せるだけなら、番組にはなりにくい。AIが出した違和感のある回答、妙に正しい回答、ズレた回答を、人間側がどう拾い、どう笑いに変えるか。番組の中心は、AIそのものではなく、AIに対する人間の受け身と編集にある。
空想タレントのものまねという企画も、AI時代らしいテーマである。実在の人物を無断に模倣するAIには権利問題がつきまとう。一方で、最初から架空の人物として設計されたキャラクターなら、AI生成、演者の解釈、番組演出を組み合わせた新しい遊び方ができる。これは、芸能の権利保護とAI表現の実験を両立させる方向としても見られる。
AIがテレビを変えるとき、重要なのは「AIが出演者になるか」だけではない。企画会議、台本のたたき台、過去番組の分析、SNS反応の整理、字幕、予告動画、番組宣伝など、制作の裏側にもAIは入ってくる。若林氏のAIバラエティーは、その変化を視聴者に見える形で扱っている。
生成AIは、芸人の仕事を単純に置き換えるものではない。むしろ、AIの不自然さや過剰さを、人間がどう扱うかによって新しい笑いが生まれる。若林正恭氏の番組は、AI時代のテレビが「技術紹介」ではなく「人間の反応を楽しむ場」になれることを示している。
参考:
- ORICON NEWS「オードリー若林正恭MCのAI×実験的バラエティーが全国ネット進出」: https://www.oricon.co.jp/news/2452592/full/
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