CodeAlmanacとは?AIエージェントに「コードに書けない文脈」を持たせるYC発OSS——使い方と、macOS専用だったのでLinux対応を本家に送った話
Claude CodeやCodexでコードを書いていると、必ずぶつかる問題があります。エージェントは「なぜこの設計になっているか」「過去に何が壊れたか」を知らない。コードには現在の形しか書かれていないからです。
CodeAlmanac(Y Combinator S26・Apache-2.0・GitHubスター約1,000で急伸中)は、この問題への回答です。この記事は、その仕組みと使い方、そして現状macOS専用だったため、当社(名古屋のAIシステム開発会社・エクスブリッジ)がLinux対応を実装して本家にプルリクエストを送るまでの記録です。
CodeAlmanacとは
「AIコーディングエージェントが維持する、コードベースの生きたwiki」です。
- リポジトリ内の
almanac/ディレクトリに、プレーンなmarkdownで知識を蓄積します——設計判断の理由、過去の障害、守るべき不変条件、ファイルやサービスを横断するワークフロー - ページはGitで普通にレビューされ、コードと一緒にバージョン管理されます
- バックグラウンドジョブが3つ動きます: Sync(5時間ごとにCodex/Claude Codeの会話ログを走査して有用な知識をwikiへ収穫)、Garden(24時間ごとに古い・重複した知識を手入れ)、Update(CLI自動更新)
つまり「エージェントとの会話で得られた文脈が、会話の終了とともに消える」のを止める道具です。
使い方(macOS)
uv tool install codealmanac@latest
codealmanac setup # 対話セットアップ(Claude Code利用なら --yes --runner claude)
cd your-repo
codealmanac init # wikiを作る
codealmanac search "検索語"
codealmanac serve # ローカルWebビューア
必要環境はPython 3.12+。セットアップでエージェント向けの指示と、上記3ジョブが登録されます。
実測: Linuxでは動かなかった
当社の開発機はLinuxです。導入してみると、CLI自体は動くものの、バックグラウンド3ジョブがmacOSのlaunchd専用実装のため登録できません。READMEにも「Supported today: macOS」と明記されています。
コードを読むと、スケジューラは SchedulerAdapter というポートで綺麗に抽象化されていて、launchdアダプタが1実装として刺さっている設計でした。この形なら、systemdアダプタを1枚足せばLinux対応になる。
Linux対応を実装して、本家にPRを送りました
SystemdSchedulerAdapter— launchdアダプタと1対1対応(ジョブごとにsystemdユーザータイマー+oneshotサービス。RunAtLoadはOnActiveSec=0、StartIntervalはOnUnitActiveSecで再現)- プラットフォーム自動選択(macOS→launchd/Linux→systemd)と、定義ファイルパスのXDG対応
- テスト: 新規4本+既存テストのプラットフォーム非依存化で、Linux上で568件全パス。実機でもインストール→即時実行→クリーン削除まで確認
提出したPRはこちらです: AlmanacCode/codealmanac#73 — feat: add Linux support via systemd user timers
マージまでの間、Linuxで今すぐ使うには
当社フォークのブランチからインストールできます。
uv tool install "git+https://github.com/katsushi2441/codealmanac@feat/linux-systemd-scheduler"
codealmanac setup --yes --runner claude
codealmanac automation status # systemdユーザータイマーとして登録されているか確認
Krayin・Zammadに続く「本家に返す」3周目
当社はこの型で、8月にCRMのKrayin日本語化(2,066キー・本家マージ済み)、今週ヘルプデスクのZammad日本語化(5,123エントリ・本家Weblate 100%)を本家に還元してきました。今回は翻訳ではなく機能実装での貢献です。OSSの「日本の会社が使えない理由」を実測で特定し、直して本家に返す——保守は本家に引き継がれ、日本のユーザー全員が使えるようになります。
AIエージェントに社内の判断・文脈を記憶させる運用(CLAUDE.mdやメモリの書式設計)は当社が日々実践している領域です。導入や運用設計の相談はこちらからどうぞ。